日本株の予想

日本株は企業業績改善で年後半に上昇を予想

デフレに悩む日本経済にとり、インフレは必ずしも悪いニュースではないはずだ。実際、2006年にはインフレ期待により日本株への楽観的な見方が広がり、日経平均は1万8000円まで上昇した。

 

現在の商品や食料の価格上昇による日本株への慎重論が強い背景には、2つの懸念があろう。それは、大胆な金融緩和策に伴う流動性相場の終焉への懸念と、原材料価格上昇による企業収益悪化への懸念だ。しかし、過度な懸念は不要だろう。新興国でのインフレ圧力と金融引き締め策の背景には、前年比2ヶタの賃金上昇率がある。一方、先進国は雇用情勢が厳しく賃金がほとんど上昇していない。この環境で商品市況上昇がインフレ期待を高め、先進国の金融政策が急激に転換する可能性は低い。

 

同時に、米国のQE2だけが現在の流動性相場を支えているわけではない。新興国の高い経済成長や富裕の台頭、先進国での企業の慎重な投資姿勢が世界的な金余りの要因だ。この構造はしばらく続くだろう。

 

1950年代以降のの米国の経験から、物価が安定しており、財務省証券(10年)利回りが5%を下回る局面では、長期金利が上昇する方が、米国株の株価収益率(PER)は上昇する傾向がある。株式市場は本格的なインフレよりも、景気後退や物価下落をリスク要因と捉えているためだろう。当面、先進国での急激な金融引き締め策は想定しにくく、良好な金融環境は継続するとみる。

 

日本企業の収益のマージンに関して興味深い点は、90年以降、原材料価格の上昇局面で企業利益が改善する傾向がみられることだ。例えば、商品市況の上昇で製造業の投入価格が産出価格を上回って上昇した02年から07年にかけて、法人企業統計の売上局経常利益率は3%前後から6%近くに上昇した(大企業・製造業)。これは、世界景気の回復局面で商品市況は上昇するため、数量増加によるプラス効果が交易条件(輸出物価指数÷輸入物価指数)の悪化を補うからであろう。

 

また、円安になると投入価格が悪化するが、日本企業は海外の売り上げを伸ばして利益を改善させる。現在、新興国で事業を拡大する日本企業が増えている。川上インフレが国内の個人消費に悪影響を与えるとしても、業績は改善する可能性が高い。

 

当面、新興国でインフレ圧力が最悪期を脱して巡航速度で景気が拡大できるかを見定める必要がある。日本株はしばらくボックス圏で推移した後、年後半に再び上昇するとみる。

米国市場が底堅い値動きをみせたこともあり、米S&Pによるユーロ圏の格下げ方向への見直し発表を受けた昨日の下げに対する反動が意識されよう。とはいえ、欧州中央銀行(ECB)理事会や欧州連合(EU)首脳会議を控え、上値追いの展開は考えづらいところである。昨日の反動による戻り一巡後は、株式、為替(FX)ともに引き続き膠着感の強い相場展開になりそうだ。