新興国株価はインフレ懸念のより上昇を予想

新興国株価はインフレ懸念のより上昇を予想する

年初より、インフレ懸念から新興国株、債券、通貨が売り込まれる動きが目立つ。昨年は先進国に比べて高い成長率と金利水準を背景に、ブラジルやインド、インドネシアなど主要新興国の株式、債券市場に多額の資本が流入し、株価、債券価格、為替相場を押し上げた。しかし、年初めから、このような資本の一部が流出。前記3カ国の株価は、いずれも昨年末の水準を下回った。

 

1月のインフレ率(消費者物価の前年比)は、ブラジルが6.0%、インド(卸売物価)が8.2%、インドネシアが7.0%に上昇。インドとインドネシアでは政策金利を上回り、実質金利がマイナスになった。

 

インドネシアの中央銀行は、1月初めに政策金利の据え置きを決定。市場は同国が物価抑制で後手に回っており、今後、インフレ急伸で急激な金利引き上げを余儀なくされ、景気が腰折れるのではないかと懸念した。そのため、海外投資家は同国の株式と債券を売却。ジャカルタ総合指数は1月11日、まで4営業日で8・7%下
落、10年国債の金利は1月7日の7.86%から21日は9.20%へと上昇した。

 

3力国のインフレ圧力は、需給両面から生じている。堅調な景気回復が続き、2009年の世界景気後退時に開いた需給ギャップはほぼ解消し、需要面からのインフレ圧力が顕在化。同時に、天候不順による野菜などの不作で食料価格が高騰し、インフレ率を押し上げた。その一方、世界景気後退時に引き下げた政策金利の正常化(中立水準への引き上げ)は道半ばだ。インフレ上昇が続くなか、「中央銀行が後手に回っているのでは」との疑念が生じても不思議はない。

 

しかし、ブラジル、インドの中央銀行は政策金利を中立水準に戻そうと昨年4月よI粛々と利上げを進めている。インドネシアの中央銀行も2月初めから利上げを開始し、これを市場が好感したため、国債価格と通貨は反発した。また、不作となった野菜類は生産サイクルが3ヵ月程度と短いため、年半ばまでには収穫の回復で価格は沈静化するだろう。

 

中東・北アフリカの政情不安に伴う原油高という不確定要因もあるが、11年半ばにインフレ率がピークをつけ反落すれば、市場のインフレ懸念は後退しよう。この場合、市
場は再び新興国の高成長率と金利に注目し、株式や債券への資本流人が再開する可能性が高い。

 

米国市場が底堅い値動きをみせたこともあり、米S&Pによるユーロ圏の格下げ方向への見直し発表を受けた昨日の下げに対する反動が意識されよう。とはいえ、欧州中央銀行(ECB)理事会や欧州連合(EU)首脳会議を控え、上値追いの展開は考えづらいところである。昨日の反動による戻り一巡後は、株式、為替(FX)ともに引き続き膠着感の強い相場展開になりそうだ。