米国株の行方

米国株は原油高要因で穏やかな上昇を予想

米国株は高インフレに弱い傾向がある。1960年代末から80年代初めの高インフレ期の株式のパフォーマンスは悪く、17年間(66〜82年)に及ぶボックス圏を抜け出せなかった。過去のデータからも、消費者物価指数の上昇率が4%を超える状態では、株式の短期的なリターンは大きく低下することが明らかになっている。しかし、現状は新興国で食品や原油などの価格上昇からインフレ懸念が高まっているのに対し、米国ではインフレ率が依然として低いままだ。これは、米国株に非常に都合の良い環境といえる。

 

米連邦準備制度理事会が量的金融緩和第2弾(QE2)を昨年1-一月に開始してからは、先進国は金融緩和の長期化が株価の押し上げ要因となる一方で、新興国は金融引き締めで株価が下落するというシナリオの下に、投資家は新興国株のウエートを引き下げ、先進国株にシフトしている。株価パフォーマンスも昨年r―一月以降、先進国株が新興国株を上回っている。

 

企業収益の面でも、米国企業は新興国の高成長のメリットを享受している。インテル、建機・鉱山機械のキャタピラー、運輸企業のUPS、フェデックスなども新興国向けの売り上げが大きい。これらの企業は昨年10〜12月期の業績が好調で、米国株の大きな上昇要因となった。

 

米国では雇用が回復傾向にあるものの依然弱い。住宅市場の低迷も続いており、インフレ率が早期に上昇するリスクは比較的小さい。また、新興国も引き締めスタンスとはいえ高成長は持続すると考えられる。したがって、現在の米株高を支えている構図は当面変わらず、株価が本格的な下落トレントに転じる可能性は低いとみられる。

 

しかし、中東情勢の悪化から原油高が想定以上に進み、かつ長期化しそうな情勢だ。これは米国企業のコストアップ要因となり、マージンの縮小から増益ペースは鈍化していくと考えられる。したがって株価上昇も緩やかなものにとどまり、年末までのS&P500指数の価格レンジは1250〜1400ポイント、年末値で1400ポイントと予想される。

米国市場が底堅い値動きをみせたこともあり、米S&Pによるユーロ圏の格下げ方向への見直し発表を受けた昨日の下げに対する反動が意識されよう。とはいえ、欧州中央銀行(ECB)理事会や欧州連合(EU)首脳会議を控え、上値追いの展開は考えづらいところである。昨日の反動による戻り一巡後は、株式、為替(FX)ともに引き続き膠着感の強い相場展開になりそうだ。